大きなお金が入ったときこそ注意

人生、思いがけず大きなお金が入るときがあります。こんな時こそ注意! 明暗を分けるご相談をいただきました。内容を少し変更して、参考になる部分をご紹介します。


 Aさんは、50歳で早期退職しました。割増退職金をもらい、その後しばらく無職でした。長年の勤務から解放され、数千万円のお金を手にし、けれど無職では先行きが不安です。少しでも増やしたいと思い、外国為替が絡む投資を行い、退職金のほとんどを失くしてしまいました。これからの生活についての相談でした。

 Bさんも50代の方です。遺産相続でやはり数千万円の現金を手にしました。「使い道については自分なりの考えがあるが、それを実行して問題がないのか、第3者の意見を聞きたい」とのことでした。いくつかの選択肢と、それぞれのメリット・デメリットを伝えました。

 多額のお金を失くしたAさんの気持ちを思うと胸が痛みます。しかし同時に、そこまで損をする前に、もっと早く誰かに、なぜ相談しなかったのか。そもそも、お金の管理や投資について、基本的な知識をお持ちであったらと思いました。

 ここ数年、50歳前後での早期退職の話をよく耳にします。また、50代は親から相続を受けることの多い年代でもあります。人間、お金が足りないときには、節約したり、いろいろと工夫するものです。逆に、大きなお金が入ってきたときこそ、判断を誤りがちになる、盲点なのかもしれませんね。

 そんな時、耳が痛いことを言われるかもしれないけれど、誰かに客観的な意見を聞く冷静さを持っていただけたらと思います。

 もちろん、幸せはお金だけでは測れません。お金でうまくいかないことがあっても、健康で、家族との関係が良好なら幸せだと私は思っています。Aさんも、その後、家族に支えられて再出発しました。

(2015年1月執筆)

2014年まで住宅資金の贈与が非課税

「住宅取得等資金の贈与税の非課税」という特例をご存知でしょうか?

父母や祖父母など直系尊属から、自宅の新築、購入、増改築のためにお金を贈与してもらっても贈与税が非課税になるもので、利用できるのは2014年まで。

通常の贈与なら、年間110万円を超える資産を贈与すると、けっこうな贈与税がかかります。ところが、この非課税制度では、2013年は700万円(省エネ住宅は1200万円)、2014年は500万円(省エネ住宅は1000万円)までなら、贈与しても税金がかかりません。

贈与されたお金で購入・リフォームをする住宅が自宅であること(投資用などは不可)、広さが50㎡以上240㎡以下などの条件があります。子どもに援助をしたい親と、家を買いたい子どもと、お互いの思いが一致するなら、利用する価値のある特例です。贈与を受けることで頭金が増えれば、住宅ローンが少なくて済みます。必ずしも限度額いっぱいの贈与でなくとも、子世帯には恩恵があります。

ただし、子ども可愛さで贈与をした結果、その後の生活が苦しくなるようでは、困りますね。子どもの側としては贈与してもらえるとありがたい、でも、最終的には親自身が決断することです。

また、子どもが複数の場合、1人には贈与し、他の子には贈与しないと不平等感が生じそうですね。そんな場合は、理由をちゃんと伝える、あるいは住宅資金を贈与しなかった子には、相続の際に多めに分けるよう遺言を残しておくなどの配慮が必要かもしれません。

親子でお金の話をするのは意外と難しい。私自身も実感します。けれど、親世帯と子世帯が、互いに自立しつつも、甘えすぎない程度に助け合いたいと思うなら、利用できる制度については、冷静に検討してもいいのではないでしょうか? その際には、今後10年〜20年のシミュレーションなどを行い、総合的に判断したいですね。

当事務所では、キャッシュフローシミュレーションのサービスを行っています。住宅購入に際して、頭金の額やローンの金利、借入額などから、今後のお金の流れを確認することができます。

教育資金の贈与は、課税?非課税?

孫に教育資金を贈与したら、税金がタダになる? 景気を刺激するために、いくつかの税金の優遇政策が行われています。そのひとつが、教育資金贈与信託です。

あらかじめ銀行に専用の口座を作り、そこに入れたお金から教育費を支払えば、非課税で贈与できる仕組みです。専用の口座を作ってお金を入れることができるのは、2015年12月31日まで。口座のお金を非課税で教育費に使えるのは、子どもが30歳になるまでです。新聞報道などによると、すでに数千億円のお金が専用口座に入金されているとか。

この制度を利用するとメリットがあるのは、どんな人なのでしょうか? ズバリ、ふたつの条件を満たす人です。

1、資産が多くて、相続税がかかる祖父母

2、孫がまだ小さくて、生きている間に教育費の援助をできそうもない祖父母

そもそもこの制度は、税金の優遇です。相続税がかからなければ利用する意味はありません。無税で親が資産を相続し、子ども(亡くなった祖父母にとっては孫)の教育費に使えばいいわけです。

また、まとまったお金を一括して渡すのではなく、支払いがある都度、教育費を贈与する分には、そもそも贈与税はかかりません。つまり、祖父母が生きていて、孫の教育費を払うケースなら非課税で贈与できます。

相続税がかかるほどの資産があり、なおかつ、孫の教育費を出してやりたい気持ちはあるが、それまで生きていられそうもないときに、認知症になるかもしれないと不安なとき、資産の一部を、この教育資金贈与信託の口座に入れておけば、祖父母の死後や認知症などで判断ができないとき、非課税で教育費の援助ができるのです。その後、予想以上?に元気で長生きしたとしても、いったん教育資金贈与信託の口座に入れたお金は、もう祖父母の資産に戻すことはできず、予定通り、教育費として利用できます。というよりも、教育費としてしか出金することはできません。他の目的で引き出したり、お金が余ったときは、贈与税の対象になります。孫が30歳を過ぎると、やはり非課税の優遇はなくなり、贈与税がかかります。

つまり、利用するなら、孫が30歳になるまでにかかりそうな教育費の額にすることもポイントです。

専用口座は、信託銀行を中心に、都市銀行や地方銀行でも取り扱っています。

(2014年1月掲載)

生命保険からお金をもらったら、税金は?

生命保険に関する相談で最も多いのは税金に関することだそうです(生命保険文化センターの生命保険相談リポート2013年4月〜9月による)。保険金や給付金を受け取ったとき、税金はどうなるのでしょうか? 生命保険と税金について解説します。

生命保険から、保険金や給付金を受け取ると、収入とみなされて課税の対象になります。

生命保険は、契約者が保険料を支払い、被保険者に何かが起きて(死亡など)、保険金受取人が保険金を受け取ります。加入の際に、契約者、被保険者、保険金受取人の3つについて名義を決めますが、これがどうなっているかによって税金の種類が違ってきます。

●契約者と保険金受取人が同じなら、所得税

●契約者と保険金受取人が違うなら、贈与税

●契約者と保険金受取人が違い、かつ、契約者の死亡で保険金が下りた(契約者と被保険者が同じ)場合は相続税

この中で特に気をつけたいのが贈与税です。例えば妻の年金保険(年金の受取人は妻)の契約者が夫である場合が該当します。契約者は妻だが、夫が保険料を出していると、実質の契約者は夫と見なされて、これも贈与税の対象となる可能性があります。

もし、このような契約になっている場合は、早急に契約者を妻名義に変更し、保険料の支払いも妻自身のお金から行うようにしてください。3つの税金の中で、もっとも高いのが贈与税です。保険金を受け取る段階になってから、名義の変更はできないので注意!

公的年金の足しにと、年金保険に入っている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

ちなみに相続税の対象となる死亡保険金には、非課税になる枠があります。

加入している保険の名義がどうなっているか、一度確認してみてください。合わせて、年間で払っている保険料の合計を出してみて家計に無理がないか、加入している保険が自分の生活や目的にあっているかも、考えていただければと思います。

(2014年1月 掲載)

●保険相談について

*加入の保険が適切か、過不足はないか、保険の見直しで家計の収支を改善できないか、保険に関するご相談も承っています。

*金融商品は取り扱っていませんので、アドバイスのみとなります。第3者の立場からアドバイスいたします。

確定申告を行うことで、税金が戻ってくる場合があります。

医療費控除や住宅ローン控除は、会社員であっても申告している人が多いのではないでしょうか? 平成24年の1年間で支払った医療費が10万円を超えた人(本人のみならず、家族も合計してOK)や、住宅ローンを組んで自宅を買った人は、ぜひ申告しましょう。

また、自宅を売って損が出た人は、申告すれば、「譲渡損の特例」制度により、損失を給与など他の所得と相殺することで所得税が安くなります。相殺してもなお損失が残った場合は、翌年から3年間繰り越すこともできます。所得税が安く済めば、連動して住民税も安くなりますから、これは家計にとって大きいですね。ぜひ確定申告を検討してください。

条件は、

  • 5年超、所有した自宅を売って損失が出た
  • 新たに10年以上の住宅ローンを組んで買換えた
  • 買換えなかった場合は、売った家の住宅ローンが残っている、など

また、生命保険料控除に、介護医療保険の枠が新設されました。平成24年に生命保険に加入した人や更新を行った人は、新しい枠での申告になります。

税務署は、還付申告のための相談にも乗ってくれるはずですから、家計にプラスになる確定申告は、頑張って行いましょう。

平成24年分の確定申告は、平成25年2月18日から3月15日まで。還付申告は、2月18日より前でも受け付けてもらえます。

(2013年1月17日)

マネーライターとして仕事を始めたころから20年以上、家計簿をつけています。仕事で、家計簿の企画・編集・作成も行いました。数年前からは、パソコン家計簿を使うようになりました。

ノート式の紙の家計簿からパソコン家計簿に変えて、まず嬉しかったのは、電卓を叩かなくても集計ができること。入力したら、同時に合計金額が出ます。1日の合計、費目ごとの合計…。最初の2週間ほどは、費目の設定や慣れない入力作業に時間がかかりましたが、慣れてくると、こんなにラクでいいのかと思うくらい。

紙の家計簿のときは苦労していた1年間の決算も簡単! というよりも、決算の必要がない。12月31日に1年分の支出を入力し終わった段階で、同時に決算もできているからです。パソコン家計簿の威力を実感。費目ごとの支出に占めるパーセンテージ、予算との差など、様々な角度から、クリックでデータを集計して分析することもできます。

家計は、1か月単位、年単位で把握することにより、今後の大きな支出に備えたり、長期にわたる収支の計画をたてることができます。そのためには1か月ごと、1年ごとの決算が必要ですが、それが簡単にできるのが、パソコン家計簿の1番のメリットです。

私が使っているのは、マスターマネー家計版ですが、他にもいろいろな種類があるようです。市販のものは数千円するので、エクセルが得意な方なら、エクセルで作ってみてもいいですね。無料のお試し期間を設けている商品もあるようです。

しっかり家計管理をしたい方、パソコンが得意な方、決算に調整したい方は、パソコン家計簿もぜひ検討してみてください。

(2012年12月22日)

2014年より所費税が上がることが決まりました。税率が上がる前に家を買いたい、ちょうど今は住宅ローンの金利も低いし…、と考える人もいることでしょう。

でも、ちょっと待って! 買おうとしている住宅の価格、住宅ローンの金額が、家計にあっているか、よくよく考えてください。

2008年のリーマンショック以降、住宅ローン破綻が増えています。最近はあまり報道されませんが、先日、FPの集まりで、住宅ローン破綻が増えていることが話題になりました。

原因は… ズバリ、ローンの借り過ぎです。素敵な家を見たら買いたくなるのは当然ですが、ちゃんと払っていけるか、冷静に長期的な視点でシミュレーションすることを忘れないで。

少子化による人口減少が進む日本で、不動産の価格が今後、大きく上昇することは期待できません。ローン破綻で家を手放したあとも、住宅ローンが残って返し続けなければならないリスクは大きいのです。

そもそも住宅ローンの利子ってどれくらいなのでしょうか?

借入1000万円、金利2%、返済期間30年の場合、返済総額は1330万5960円。約330万円も利子を払います。2倍の2000万円借りたら、利子は約660万円です。

人生での一番大きな買物ともいえる住宅。不景気の今、慎重すぎるほど慎重に、検討してくださいね。

(2012年9月執筆)

家計管理をしっかりしなきゃ!と思ったとき、まず始めるのは家計簿をつけること、そういう方は多いと思います。もちろん家計簿は、家計管理にとても役に立ちます。

でも、その前に行いたいのが、家計の整理整頓

いくつもの銀行口座を持ち、加入している保険の証書をどこにしまったか忘れちゃった、なんてことはありませんか? まずは、次のことをぜひ実行してください。

  1. 家計関連の書類を1カ所にまとめる。
  2. 生活費の入出金は、なるべくひとつの銀行口座にまとめて、使っていない口座は解約する。
  3. 加入している保険について、どんなときにいくらもらえるかを、人別にまとめる。
  4. 手持ちのクレジットカードの特典やポイントの仕組みを確認し、できれば1枚に絞る。利用する目的別に多くても3枚まで。

この4つを実行すると、お金の流れがすっきりしてわかりやすくなるはずです。その上で、大まかでいいので家計簿をつけることができたら大丈夫。

あとは、目の前のことばかりではなく、3年後、5年後、10年後など、長期的な視点で家計を考えてみましょう。

家計管理が大事なことは、わかっているけど、おっくう、めんどう…。そんな方におすすめしたいのが、キャッシュフローシミュレーションです。

収入と支出、これからの予定を入力し、貯蓄残高がどのように推移していくかを見るのがキャッシュフローシミュレーション。例えば、子どもの教育費がかかる時期に残高がマイナスになる家庭、セカンドライフの資金がマイナスになってしまう家庭。

今は大丈夫でも、対策を打たないままでいると、将来、お金が足りなくなってしまうことがわかります。

マイナスの真っ赤なグラフを見れば、節約しなきゃ!と自分を駆り立てなくても、無駄使いは自然と減るものです。

キャッシュフローがマイナスでも、早めに気が付いて対策をとれば、改善させることができます。支出の見直し、収入増加のための選択をすればいいのです。

キャッシュフローシミュレーションは、ご相談の際に作成することができます。

キャッシュフローシミュレーション作成や、ご相談については、こちらも参照してください。

少なくとも、これから予測される大きな支出については、書き出して、合計額を確認しておくことをおすすめします。この金額をときどき眺めて、無駄使いを減らしたり、家計管理のモチベーションアップにつなげましょう!

税金のしくみ、わかりにくいですね。

税金について疑問があるけど、税理士さんに相談するほどではない……というとき、どうしていますか?

そんな時におすすめのサイトが、国税庁のタックスアンサーです。税金の種類ごとに調べたり、キーワードで検索もできます。

●国税庁 タックスアンサー

現在、住宅ローンを払っている方は、所得税の優遇期間(住宅借入金等特別控除)ですが、こういった期間限定の優遇措置も掲載されています。ただし、表現が固く、読んでもわかりにくいのが難点。

ファイナンシャルプランナーは、ライフプラン、金融資産、保険、不動産、相続、税金の6科目について知識をもち、税金の制度をふまえた上で家計についてアドバイスをすることができます。税金そのものについてのアドバイスは、提携する税理士さんとともに対応します。

扶養控除が見直され、消費税も上がる方向です。収入が変わらなくても使えるお金が減っていく時代。家計管理の際は、税金ついても、しっかり確認しましょう。

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しっかり貯める家計管理、合理的な保険の加入、教育資金の準備、納得のいく住宅購入、セカンドライフの資金計画まで。
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